20年におよぶアフガン戦争終結へ
米軍が2021年7月2日、アフガニスタンの前線基地であるバグラム空軍基地から撤退したようです(同日付のニューヨーク・タイムズ「U.S. Leaves Its Last Afghan Base, Effectively Ending Operations」など)。
20年におよんだ米軍のアフガン戦争が今、終わろうとしています。
アフガン政府・政府軍について厳しい予測
しかし、米国が多大な人命と莫大な費用を要して支援してきたアフガン政府やアフガン政府軍の統治の正当性と影響力については非常に厳しい予測がなされています。
たとえば、上記ニューヨーク・タイムズの記事は次のように述べています。
米国のインテリジェンスの予測によれば、アフガン政府はアメリカの完全撤退後6か月以内にタリバンに屈する可能性がある、と見込まれている。
また、米PBS NewsHourは、カブールに駐留している米司令官のスコット・ミラー将軍が次のように述べたと報じています。
今の状況が続けば、アフガンはまちがいなく内戦になる。今よりもさらに暴力が増大する。
(Top U.S. commander in Afghanistan warns the country could descend into civil war June 30, 2021, PBS NewsHour)
厳しい予測の理由
こうした厳しい予測の理由について、上記 PBS NewsHourは次の3つのことを説明しています。
1つは、タリバンの攻勢です。米国が完全撤退を発表して以来、タリバンはおよそ50の地域を押さえており、首都カブールとアフガンの他の地域を分断させています。
2つめは、アフガン政府軍の急速な弱体化です。アフガンの国中で政府軍がタリバンに降伏しており、その急速な降伏の広がりは米国とアフガン政府を驚かせています。
3つめは、地方の部族・民衆と政府の分離です。地方の部族・民衆たちは、地方民兵組織を再結成しています。これは地方の軍事指導者に支配された多数の民兵組織が存在していた時代のアフガニスタンを思い起こさせます。
ということで、現時点での予測を見る限り、前回の当ブログで紹介した専門家のコメントの1つである「バイデン政権は、アフガン社会を作り変えるというさらに大きな使命を果たすことができないことを認識する勇気を持った」という指摘が現実のものになる可能性が高いようです。